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自己紹介をし、生徒達に自己紹介を促した。
僕はこれが苦手だ。
出身小学校と入りたい部活、得意な事、アダ名があれば、なんてマキセンは軽く言っていたけど、メンバーが持ち上がりだった小学校とは訳も空気も違う。
立ち上がる瞬間に、期待と緊張のシーンとした空気が流れる。配られた名簿と顔を交互に見る。
坊主頭の男子が「緊張するじゃん」と、声を上げると「あんたの順番はまだだよ」と、近くの女子が「知ってるから、紹介しなくてもいい」と同じ小学校出身同士らしい、気さくな会話が聞こえた。
ゆうちゃんの席は、廊下側で遠い。会話を交わせる位置じゃない。
どきどきしながら自分の順番を待つ。
みんな近くに知っている顔が居て、緊張をからかわれても、ちゃんと大きな声で名前を言っている。
手に汗がじわっと滲んだ気がして、スカートでそれを拭いた。
隣の席の、男子の順がきた。
椅子が身体のサイズに合っていないのか、ガタガタガタと椅子を引いた時に大きな音がした。
「た、……た、……、ひろです」
聞き取れない、小さな声だった。
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