大嫌いなあの子の、パパ

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 今日の面子は和菓子屋の蒲田、まだエロい目で脚を見ている松下、そして珍しく「岩井さん」だった。  岩井は父親と同じ工科大学の後輩だ。確か父親の三つ下だと言っていた。すると四十四歳になるはずだが、お腹もまったく出ていないし、三十代後半といってもまだいけそうだ。仕事はIT関係という。普段は忙しくて滅多に麻雀会に来ることはない。  今日も週末なのに会社帰りらしく、一人だけワイシャツにスラックス姿だった。  みさとが麦茶のグラスを小さな補助テーブルに置くと、岩井は顔を上げて「ありがとう、みさとちゃん」と、メガネの奥の目を優しく細めた。それを見てドキッとする。若作りもさることながら、インテリタイプの岩井の顔は実はみさとの好みだった。 「ど、どういたしまして。お久しぶりです」 「みさとちゃんは元気そうだね」  そう言いながら、山から牌を取る。その形のいい手に自然に目がいってしまう。  きちんと爪が切り揃えられた綺麗な指。そして、ちょっと思案する細面の横顔。 「みさとちゃんなら、何を切る?」 「え、私?」  つまんだ牌を軽く台に打ち付けている指先に見惚れていると、いきなり尋ねられ、動揺した。
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