大嫌いなあの子の、パパ

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 それも、真奈美はみさとと彼とを仲介するふりをして、姑息に、そして周到に横取りしたのだ。  だから正直、真奈美がこの街から消えてくれて清々していた。  岩井にことわり、いくつか写真をスクロールして見た。知らない街を背景に、いろんな真奈美がいた。悔しいが、すらりとした体型の彼女はどれも、可愛い。  自分は今日までほとんど真奈美のことを忘れていたが、向こうもみさとのことも、そして自分がしたことさえも忘れて、のうのうと新しい場所で暮らしているのだ。 (憎たらしい)  みさとの胸にどす黒い雲が渦巻いた。  その気持ちに呼応するように、遠くで雷が鳴る。ハッとして顔を上げると、雨の匂いを含んだ風がカーテンを大きく揺らしていた。 「写メはこうしてたまに送ってくれるけど、なかなか会えなくてね。遠いし、こっちも忙しいから仕方ないんだけど」  岩井が隣に腰掛け、長いため息をついた。  メガネを取り、まっすぐな鼻梁の付け根を指先で揉んだ。額にかかる前髪に、少し白髪が混じっている。 (でも、岩井さんって、かなりいいセンいってるよね……。真奈美もお父さん似だな)
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