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画面の向こうには他人が存在していると知っていた筈なのに、わたしは、まったく理解していなかったのだ。
「……どうしよう」
さっきの衝動を俄に後悔する。全身が震えていた。熱いのか寒いのか分からなくなっている。お茶をもう一度飲みに行こうかと思ったけれど、足に力が入らない。諦めてベッドに座り、壁にもたれかかった。
時間をかけてわたしはくらげさんへリプライを送る。
【あお@ ありがとうございます。こちらこそ勝手にフォローしてしまって、すみませんでした。】
【くらげ@ 無言大歓迎です! 宜しくお願いします〜】
「は、はいっ」
勝手に、ほんわかとして明るい女子大生が笑っているイメージが脳内に浮かぶ。思わず声が出てしまった。
‒‒そこから、ちょっとずつ、わたしはくらげさんと会話をするようになっていった。
フォロワーもほんの少しだけ増えた。
おはようとか、おやすみとかも、眺めているだけではなくて、些細なやりとりの繰り返しができるようになった。
時々バンドの曲やメンバーについて熱弁をふるったり、語り合ったりもした。
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