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それでもライブ後の興奮が冷めないまま、勢いで返信してしまう。
【あお@ 外のガードレールのところにいます。ツアーのロゴTシャツで、黒のデニムです。足元は緑の紐のスニーカーです】
【くらげ@ 分かりました! 自分は青のバンドTです】
そしてメッセージを読んだのと同じタイミングだった。
「……あおさん?」
わたしは予想外すぎるくらげさんの姿に言葉を失った。
どうして女子大生だと信じこんでいたのか。簡単に自分の恰好を送信した、自分の浅はかさを呪う。
「く」
頭のてっぺんから爪先まで確認する。目の前に立っている青いバンドTシャツの人間は、すらりとした細身の青年だった。
「く、……くらげ、さん?」
やっとのことで声を振り絞ると、目の前の青年は破顔した。
「よかった! 合ってて。はじめまして。くらげです」
ひとの良さそうな、コミュニケーション能力の高そうな、ツイッターで感じていたそのままの雰囲気。ただし性別以外は。
彼はわたしの動揺には気づいていないようで、首にかけたタオルで汗を拭いていた。わたしが買ったのと同じ色のタオル。
「最高でしたね!」
「そ、そうです、ね」
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