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「会えてよかったです。なかなか周りにファンがいなくって」
「は、はい」
「この後どうですか? ラーメンとか行きませんか?」
「い、いえ、明日も早いので」
わたしはなんとか答えると、逃げるように走り去った。
◆
「それで帰ってきたの?」
首を縦に振る。
「せっかくのチャンスだったのにもったいない。初彼ができたら面白かったのにぃ」
「面白いって、そんな」
月曜日の昼。
OLをしているさくらは、紺色の制服姿で現れた。結婚式に関係なく、トリートメントを欠かさない髪の毛と爪は艶々としている。
「だって、オトコと会ったって聞いたからには、呼び出さなきゃいけないでしょう」
「話したいことがあったのはさくらじゃないの」
「ううん。特にない」
飄々と即答されて気が抜けた。
「敢えて報告するなら今日はお泊まりだけどね」
鼻歌混じりに言われるけれど、わたしは淡々と返す。
「何番目?」
「えーと、3番目」
さらに言うと、常に複数人いる。
改めて、未だに、わたしとの付き合いが続いている理由が分からない。
「それはさておき、そのあと、そのひととやりとりした? まさかブロックとかしてないよね?」
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