後篇

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 友人くんがわたしのことを興味深そうにじろじろと見てきた。2人の雰囲気はとても似ている。まるで双子の兄弟のようだった。 「そうそう。先出てて。俺が会計しとくから」 「おぅ」  小さく会釈をしてから彼の友人が外へ出る。 「あいつがいると緊張するかと思って」  ナチュラルに敬語が崩れる。  彼にまったく悪気はないのだろう。  寧ろ、わたしが人見知りだと理解して、気を遣ってくれたのだろう。 「この近くに住んでるの?」 「あ、はい……」 「俺も大学がこの近くなんだ。今日何時上がり? よかったらご飯でも行かない?」 「17時、です……」 「オッケー。じゃあ17時半に、また来るね」  思わず答えてしまって、後悔の念に駆られたのは説明するまでもない。 ◆  くらげ青年は飄々とした様子でオムライスドリアを食べている。わたしは熱々のナポリタンに悪戦苦闘。 「えっ! 25歳……? タメくらいだと思ってた」  無理もない。わたしだって、イメージする25歳はさくらみたいな子だ。
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