後篇

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「ぶっちゃけ、初めて。あおさんは好きなバンドが被ってるし、こう、出会い目当てって感じもしないし、日常がまったく見えないし。そんなミステリアスな感じが気になって」 「はぁ」 「会ってみたら、たしかに不思議なひとだった」  満足、と言いたげに笑っている。  悪い気は、しなかった。  緊張しすぎたのか、最後までナポリタンの味は分からなかった。 ◆ 【くらげ@ ふがいない。大事な人間に、想いを伝えることが下手すぎる自分。悔しい】  深夜2時。  ふと目が醒めたついでに暗闇のなかでツイッターを開くと、くらげ青年が珍しく落ち込んでいるように、見えた。  いつも明るい彼にも、人間関係において悩みなんてあるんだろうか。  わたしは一言一句考えながらもスマホのキーボードをタップする。 【あお@ 大事なひとがいることが羨ましいです。くらげさんなら、後悔しないように、きちんと伝えられると思います】  それは自然と湧き出た感情。  ……おせっかいだろうか。だけど言わずにはいられなかった。  大事な人間がいるだなんて、それだけで羨ましいのに。自分の心を動かしてくれる相手がいるなんて。
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