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そこは、2駅隣の駅前の、こぢんまりとした、立ち呑み居酒屋だった。店内は焼き鳥や煙草の煙が充ちていて、仕事帰りのサラリーマンで賑わっていたけれど、ぎゅうぎゅう詰めにされることはなく、唯一の椅子席に通された。天井近くで小さなテレビが野球の試合を放映しているが音声は話し声や笑い声でまったく聞こえない。
「子どもの頃から通ってる親父の行きつけなんだ。酒はおおざっぱだけど、飯が美味い」
くらげ青年はジョッキでウーロン茶。わたしは、カシスウーロンで乾杯する。
「クルマで来てるから、送るね」
「ありがとうございます」
「あのさ、いい加減、敬語やめない? あおさんの方が歳上なんだし」
「……善処します」
軟骨のからあげ、ポテトサラダ、煎った銀杏。フライドポテト、だし巻き卵、カニクリームコロッケ。次々と小鉢が出てきて、どれもが美味しい。
「美味し、い」
「だろう? お腹いっぱいになるまで食べていいんだから。ほら、カニクリームコロッケ。小さめ3個だから、2個あげる」
気を遣ってもらっている。
すごくうれしいけれど、どうしてだか、むずむずする。
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