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「今日なんか雰囲気違うね。いっつもバンドTシャツにジーパンってイメージだったから。そんなひらひらしたやつも着るんだ」
「い、一応」
「デートみたいだな。歳上彼女との居酒屋デート」
「えっ」
ははは、とはぐらかされたように笑われる。
あぁ。
楽しいだなんて思ったら、罰が当たるだろうか。
◆
そんなこんなで酔いが回ったのか、カシスウーロン1杯だけで足がもつれてしまった。
「大丈夫……?」
「な、なんとか」
「うちの方が近いから、ちょっと休んでく?」
言葉通り、駅にほど近い一軒家が、くらげ青年の家だった。居酒屋まで徒歩圏内だというのにわざわざ2駅隣のわたしの為にフィガロを出してくれたらしい。
「ほら、水飲んで。あとこれ、二日酔いになっても軽く済むから」
きれいに整頓されたリビングのソファーで横になって、わたしは促されるまま、水と薬を口にする。
ふと巨大なテレビの横に飾られた写真立てが視界に入った。
笑顔の男性が3人写っている。
視線に気づいて、くらげ青年は、あぁ、と声を出す。
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