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結局、吉備野家で用意したペット可アパートに、ハクとユカリと一緒に住んでいる。
今想えば、あれは最後の賭けだった。
全く子供時代のお父さんに似てないのに、おばあさんを騙したんだ。
あの時、召喚した蜃の幻術を魅せて。
「信じない……急急如律令」
「蜃侍汝居(蜃、汝侍りし居たまえ)、急急如律令」
今日もハクとユカリの元気な声とポテチを貪る音が響いている。
書く仕事で隠しごと。
しなやかに、したたかに。
斯くして、騙す、ことだまし。
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