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中程とはちょうど済南高校が占拠している所である。いや落下とはなんなのだ、あり得ない。
「おい小尾田君、どういうことだ!利用規約とは何だ!ちゃんと読まなかったのか!」
袴田が小声で隣に座っている小尾田を叱責する。教師達は見張りもかねて全生徒の後方の席を陣取っていた。
「も、申し訳ございません……」
この修学旅行の飛行機、宿泊場所の予約は全て小尾田に一任されていた。しかし実際、利用規約を全て読む人間がどれほど居るだろうか。全ての責任をこの男一人に負わせるのはいささか気の毒に思われる。
「それではこれから機内クイズサービスを開始したいと思います!」
にわかにざわつき始める。至極全うな反応だ。その時、
「おい!ふざけるな!聞いてないぞ!」
と前の方から怒鳴り声が聞こえて来た。言い争いが続いていると、スーツを来た屈強な男二人に両脇を抱えられ、顔を紅潮させたサラリーマン風の男がクイズ回答をする場所までつれて来られた。済南高校一行がその様子をじっと見つめている。
「なにがクイズだ!俺はたとえ選ばれても答えんぞ!」
そばに居たマイクを持った客室乗務員が彼に答える。どうやらこの男性が司会的立場らしい。
「申し訳ございません。回答権を放棄される場合は強制追放になってしまいますがよろしいでしょうか?」
「はぁ!?何を言ってるんだ君は!きちんと目的地まで届けるのが貴様らの仕事だろ!」
「利用規約に同意した事を前提としておりますので、それに従えない場合は強制追放となります、よろしいでしょうか?」
「うるさい!俺は従わないぞ!」
「強制追放ですね、かしこまりました」
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