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神様の元には毎日の様に人間からのお願いメッセージが届く。
入試が受かります様に。
彼女が出来ます様に。
赤ちゃんが出来ます様に。
父の病気が治ります様に。
様々な願いが毎日の様に神様のリストに記され神様は神業で
瞬時に叶える願いを選別する。日頃の行いと照らし合わせ順に
リストからリストアップしていくのが日課だ。
全ての願いは叶えられない、リストから溢れた人間の願いはリセットされ
リストから削られる。それでもリストは毎日賑やかだ。中には悪事の成功
を願う人間にも出くわすが神様は見向きもしない。
「神様、お願い」
ある日届いた願いに神様は、目を疑った。
「明日、世界が滅びます様に」
願ったのは、わずか小学3年生の女の子。神様は心情を探った。
女の子は、苛めに苦しんでいた。世界の滅亡を願うレベルの苛め
など神様にさえ想像出来なかった。何故彼女は、苛めが無くなる事
ではなく世界の滅亡を願ったのか。幼きその心情までは流石に
神様にも分からない。
せめて彼女が苛めから解放される様に。
せめて彼女が今夜は、安心して眠りにつける様に。
神様は、そっと女の子を抱きしめた。
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