2#鹿の角のおとしもの

2/2
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
 「くやぢぃぃぃー!!ぐやぢぃぃぃー!!クマ公に木の実を横取りされたぁーー!!」  横暴なツキノワグマのクータの暴威から逃れてきたカモシカのゲンタは悔し涙を長しながら、山野をトボトボと右往左往に項垂れて歩き回った。  ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ・・・  ぐるるる・・・きゅるるるる・・・  「あー腹へった・・・あれから何も喰ってないし。」  カモシカのゲンタは、空腹に耐えきれなくなって足取りがフラフラしてきた。  ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ・・・  こつん。    「うわっ!!」  どさっ!!  カモシカのゲンタの足元の遇蹄に、何かがぶつかって躓いて転倒してしまった。  「いててててて・・・何なんだよ・・・ん?これは何だべさ?」  転倒したゲンタは、ムクッと起き上がった。  「ん?これは・・・げっ!!」  カモシカのゲンタは、遇蹄にひっかかった物を見たとたん、身体に戦慄が走った。  「し、鹿の角?!」  それは、立派な鹿の角だった。  カモシカのゲンタは足元に転がる何も片方1対の鹿の角と、自分の短い角を比べてみた。  「おいらの角にも、こんなに大きな角だったらな・・・」  カモシカのゲンタは、この白光りする鹿の落とし物にじっと見とれていた。  「ん~~~~と・・・そうだっ!!」
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!