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「くやぢぃぃぃー!!ぐやぢぃぃぃー!!クマ公に木の実を横取りされたぁーー!!」
横暴なツキノワグマのクータの暴威から逃れてきたカモシカのゲンタは悔し涙を長しながら、山野をトボトボと右往左往に項垂れて歩き回った。
ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ・・・
ぐるるる・・・きゅるるるる・・・
「あー腹へった・・・あれから何も喰ってないし。」
カモシカのゲンタは、空腹に耐えきれなくなって足取りがフラフラしてきた。
ざっ、ざっ、ざっ、ざっ、ざっ・・・
こつん。
「うわっ!!」
どさっ!!
カモシカのゲンタの足元の遇蹄に、何かがぶつかって躓いて転倒してしまった。
「いててててて・・・何なんだよ・・・ん?これは何だべさ?」
転倒したゲンタは、ムクッと起き上がった。
「ん?これは・・・げっ!!」
カモシカのゲンタは、遇蹄にひっかかった物を見たとたん、身体に戦慄が走った。
「し、鹿の角?!」
それは、立派な鹿の角だった。
カモシカのゲンタは足元に転がる何も片方1対の鹿の角と、自分の短い角を比べてみた。
「おいらの角にも、こんなに大きな角だったらな・・・」
カモシカのゲンタは、この白光りする鹿の落とし物にじっと見とれていた。
「ん~~~~と・・・そうだっ!!」
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