女神のルージュ

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ふしぎなパワーが指先まで通っているようなそんな気持ち。 「如月(きさらぎ)くん」 彼は振り向いた。 「・・・・・・長瀬?」 繁華街でアルバイトの友達らしい数人が、えーっ女の子じゃーんと冷やかす。 「ばっかクラスメートだよ、・・・・・・えーと」 如月(きさらぎ)くんは急にすまして咳払いをした。 なぜかいまは、彼の気持ちが手に取るようにわかるような気がした。  「 ・・・・・ほんとかんじ変わったな、変わるんだな女って」 「如月(きさらぎ)ー、明日は聞かせろよお 、いっちまえ色男!」 「うっせ!・・・・・・ちょっと歩くか」 わたしはこくりとうなずく。   『彼の心を捉えるんだ』 わたしは指で紅いルージュの唇に触れた。 彼がわたしの指先を見てる。 たとえわたしの力じゃなくても。 女神さまの魔法で綺麗にしてもらっているだけの、取り柄なんてない女でも。
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