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男の子は、あのとき結婚してって言ったの?
それで、ゆくゆくはあの子がわたしの子どもに…?
ていうか、先生の雰囲気がいつもと変わった気がする。それは、日が落ちて辺りが暗くなってしまったせいなの?
どうしたらいいかわからない。けれど、たとえ夢の中でも死ぬと脅されたら、気が気ではいられない。
「…わかりました。結婚します」
「そう、ですか。では、よろしくお願いしますね、奥さん」
図書室でひとり、昼と夜の間に見た夢は、現実になる。
その七不思議は真実ではないけれど、まったくの嘘でもない。
差し出された右手を、ぎゅっと右手で握り返す。
青天の霹靂。それは、波瀾万丈な人生の幕開けに過ぎなかった。
すっかり落ちた日のせいで、握手を交わすわたしと先生のシルエットが、図書室の窓にはっきりと映っていた。
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