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昼と夜
「…花咲、由莉奈……さん」
辺りは薄暗く、なにもない。大地が広がるこの場所で、声が聞こえる。
それは、わたしを呼ぶ声。
なんだか、聞き馴染みのある声に似ている気がする。
「…だれ?」
ひゅっと現れたのは……これまた見覚えのある、わたしと同い年くらいの男の子だった。
「…ねぇ、だれなの?」
「このままじゃ、あなたは死ぬ……」
「え……?」
「おれはあなたに会えなくなる……だから、早く……」
「あの、待って…」
「早く、あいつと…して」
あいつがだれなのか、わたしはいったい何を早くすればいいのか。
問いただす前に彼は消え、一瞬真っ暗になったかと思えば、ぼんやりと人工的な明るさが見えてきた。
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