昼と夜

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「…あなた、よく図書室に来ていますよね」 「あ、はい……」 まさか、先生の声を求めて居座っていますなんて言えるはずもなく。 「そういえば、古典の授業も、あなただけは真剣にやっていますね」 「えっ…」 「やる気のない生徒ばかりの中で、あんな熱視線を送られたら、気がつかないことはないですよ」 そんなこと言われたら、恥ずかしくて死んじゃう。 「すみません、今後はあまり見ないようにします……」 「べつに、見るなとは言ってません。生徒同様、やる気がないのはお互い様なので、あなたのような存在がいてくれた方が引き締まるので」 それって、褒められてる? 「褒めたつもりはありませんけど」 心を読まれた。 「授業はまじめに受けていますが、成績が伴っていませんものね」 「うう……」 だって、昔の文章って、日本語とは思えない言葉みたいなんだもん。英語みたいに、他国語って感じがするし。
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