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「もし、あなたがよければ、教えてあげてもいいですよ」
「えっ?」
「放課後、ここに来たら、古典の個別指導してあげます。どうせ、ここでやる仕事はほとんどないので」
そんな、そんなことって、ある?
これまで見ているだけの存在だった西川先生と話しているのも奇跡だと思ったのに。
「…いいんですか?」
「その代わり、授業料は払ってくださいね」
「授業料? お金取るんですか?」
「お金はいらないです。生徒から巻き上げるなんて卑怯なことはしません。…まぁ、もしかしたら、似たようなことかもしれませんけどね」
「それってどういう……」
わたしの言葉を遮るように、先生が顔を近づけてきて、そして……
先生のやわらかくてあたたかい唇が、わたしの額に触れた。
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