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それから何度も何度も、数え切れない程、満月と共に絶頂を達した。
時には舌を入れあって交わった。
出来るだけ互いの身体を隅から隅まで重なるために。
精液が透明になるまでやりきった二人は横になり、互いの顔を向かい合わせて息を切らしていた。
だが、その時も下は繋がったまま、足を絡ませていた。
いつまでも離れたくないというように。
「ふふっ…この中、想一郎君の精液で満たされているよ。いつも以上に酷いことをされちゃうかも。けど、もったいないからこのままにしておくの」
冗談混じりに言う満月に想一郎は微笑みかけた。
可愛い。同じ顔だけれど、この目の前にいる顔は満月だからこそ出せる表情で、いつまでも眺めていたいぐらいだった。
この安らぎをいつまでも。
そう、だから。
「ねぇ、満月」
「うん?」
「僕はいつまでも満月とこうしていたい。疲れるまでずっと。───だから、ここから逃げよう」
満月は、えっという顔をしたまま、動かなくなってしまった。
無理もない。突然言った突拍子もないことなのだから。
けれども前から考えたことだ。
それが今、その機会だと思って言ってみた。
「…でも、どうやって?僕達こんな状態だし、そうじゃなくてもこの牢から出られるかどうか……」
「あの人達とした後、みんな外に出る、その瞬間が毎回あるんだ。僕がその時合図を出すから、その隙に走って逃げよう」
「………うん」
いまいち想一郎の意見に同意が出来ないのか、曖昧な返事をしていた。
今は仕方ない。自分だって、それでいいのか、それで成功するかなんて全く分からない。
だけれども。いつまでもこんな生活をしていたくは無かった。
一縷の望みをかけて、行動をする。
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