第一話『花咲 桜』

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第一話『花咲 桜』

突然の出来事だった… 両親が海外の会社から久しぶりに帰って来て、私の12歳の誕生日を祝うために箱根の別荘に行った帰りだった…。 後部座席で私は誕生日プレゼントのオルゴールを眺めながら学校の事を話していると突然ガラガラと凄い音がして…ガツンと車が揺れて… 「い……いやぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」 目の前で運転席と助手席に乗っていた両親が消えてしまった。 「なんて不幸なんでしょう…落石事故だなんて…」 「お嬢さんまだ中学1年生ですって?可哀想に…」 「あんなにいい方だったのに」 「お嬢さんに遺産が全て入るのでしょう?花咲財閥の」 病院で検査を受け、入院している間…看護師さん達のひそひそ話す声が聞こえたけど理解出来なかった…。 (私は…なんで入院しているの…?おウチに帰りたい…) 暫くして退院して家に帰る。 「お嬢様、少しはお召し上がりになってください」 ご飯を食べるために食堂へ行ってもなんだか食べる気がしない。 「ごめんなさい…なんだか食べる気になれなくて……」 目の前には私の大好きな料理がいっぱいあるのに…手を伸ばす気にもなれない。
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