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「食べたくないならしかたねぇよな?」
「そうですよねー。無理して食べなくてもいいのよ?桜ちゃぁん」
そう私に言うのはお父さんの弟の和雄さんとその奥さんのありすさん。
…不思議に思ってたけど、何でウチにいるんだろう?私が寂しくないように?
「有難うございます…今日はもう寝ますね」
ふらふらする足で食堂を出て、壁に手を着いて自室までの長い廊下を歩く。
「ったく、あのガキも死んじまえばよかったのに」
「大丈夫よー。どうせあのまんまじゃ餓死するわっ」
食堂から叔父さんと叔母さんの笑い声がする…
ごめんなさい、叔父さん叔母さん…私、何故か笑えなくなったの…。どうしてだろう?
「あ…学校へ行かないと」
入院していて始業式も出てないけど、毎週メイドさんが持ってくる時間割を見て明日の準備をする。
「えっと…5月1日の月曜日の1時間目は…書道ね」
小学生の時から使っている習字道具を棚から取り出す。久々に使うその習字道具入れのバッグを開けてみると中に新聞紙が入っていなかった。
「新聞紙…取りに行かないと」
ふらふらする足で廊下に出て倉庫へ向かう。
よくメイドさん達を驚かせるためにこの倉庫に隠れてたっけ。
倉庫から新聞紙を持って来て、習字道具入れに入れようとした時……
「……なに…これ……」
『花咲財閥の当主 落石事故で死亡』
大きなカラー写真で…車の前が大きな岩に潰されてしまっている写真が……
慌てて新聞を広げると其処には両親の写真が乗っていた。そしてその下に……花咲優希 花咲陽子…両親の名前が乗っていた。
『花咲夫妻は愛娘、桜さんの誕生日を祝うため海外から3月25日に帰国し、箱根の別荘で娘の誕生日を祝い、娘の中学の入学式に合わせて自宅に戻る途中、落石事故に遭い死亡』
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