第一話『花咲 桜』

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・・・ 「……カノン。君が選んだのはこの子だね?」 「はい」 「…そうか……」 私は天を仰ぎ見る。 「母よ。確かにこの子ならばあの子を救える、魂から結ばれた者……ですが、何故にこの子なのです?」 我等が主の上位に位置するものの神子…。 つまりは、死してその側に仕える者となる魂。 (我が子よ……それが星神の望みだ。我も我が主もどうする事も出来ぬ…) 「……」 母の返答に杖をキツく握り締める。 (我が子よ。神には逆らえぬ。定め通りにお前の責務を果たしなさい…) 「……分かりました」 私は桜の映る空間に杖を翳す。 するとすぐに桜の姿はベッドの上から消えた。 「……カノン」 「はい」 私はその様子を感情の灯らない目で見つめるカノンに 「あの子の傍に行ってくれ」 と言う。 「分かりました」 私の空間からカノンの気配が消え…私はその場に崩れるように座り込んだ。 「どうか…星神よ。弱き人の子に非情な試練を与えず、慈悲を与えたまえ……」
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