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「……カノン。君が選んだのはこの子だね?」
「はい」
「…そうか……」
私は天を仰ぎ見る。
「母よ。確かにこの子ならばあの子を救える、魂から結ばれた者……ですが、何故にこの子なのです?」
我等が主の上位に位置するものの神子…。
つまりは、死してその側に仕える者となる魂。
(我が子よ……それが星神の望みだ。我も我が主もどうする事も出来ぬ…)
「……」
母の返答に杖をキツく握り締める。
(我が子よ。神には逆らえぬ。定め通りにお前の責務を果たしなさい…)
「……分かりました」
私は桜の映る空間に杖を翳す。
するとすぐに桜の姿はベッドの上から消えた。
「……カノン」
「はい」
私はその様子を感情の灯らない目で見つめるカノンに
「あの子の傍に行ってくれ」
と言う。
「分かりました」
私の空間からカノンの気配が消え…私はその場に崩れるように座り込んだ。
「どうか…星神よ。弱き人の子に非情な試練を与えず、慈悲を与えたまえ……」
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