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暫く私は暖かいドームの中で待っていた。
「さっきの人…帰ってくるかな…」
このドームのおかげか、濡れていた服も体も乾いてきた。
(まるで魔法みたい…)
そう思いながらきょろきょろと辺りを見回す。
灰色のどんよりとした空からは雨がザァザァと降り、傍にあるヨーロッパ風の館を濡らしている。
(此処は…地球…なの?)
さっきの男の人…背中にカラスみたいな大きな翼が生えてた。
(まさか地獄?)
なら…あの人は悪魔?綺麗だけど凄く冷たい目をしていた…。
バサッ、バサッ
「もう、ラーウス痛いってば!」
空から羽音と声がし、見上げるとさっきの黒い翼の人が茶色の翼の人を引っ張って飛んできた。
「あれ?この子……人間?」
オレンジのドームに包まれた茶色の翼の人が私に近付くとドームが重なり合って1つの大きなドームになった。
(人間って…聞いた?では…やっぱりこの人達は悪魔?)
「ねぇ、私の言葉分かる?」
「……はい」
「あっ、分かるんだ。よかった。
私はアンネ。アンネ・ベクター。お嬢さんは?」
「花咲 桜です」
「んんっ?」
茶色の翼の人…恐らく女性。アンネは黒い翼の人と顔を見合わせる。
「聞いた?ラーウス…この子の名前」
「あぁ」
私の名前…変なのかな?さっきから二人の名前が聞こえるけど、二人とも日本語ではない名前だ。
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