黄昏て、パジャマ

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学祭の見学を終えて、しばらく街中を散策した後、愛理ちゃんオススメのイタリアンレストランで少し早めの夕食を終えた。 瑞樹が希望していた通り、ここから徒歩15分ほどの僕の自宅に向かって歩き出す。 先ほどまで空を染めていた黄昏色と、夜の藍を混ぜたような瑞樹の瞳が、物言いたげに時折こちらに向けられる。 「どうかした?」 「あの……出して貰っちゃってすみません。ご馳走様です」 「いいよいいよ、初めてのデートだし。お休み合わないと滅多に出来ないからさ、こういう時くらい格好付けさせてよ」 「格好良いですよ……圭吾さんは、いつも」 頬が緩む。ふっと吐き出した息は、焦りを誤魔化すための僕の癖。 周囲を確認すると、住宅街に入る路地の手前、人の通りは少ない。隣に向かって手を差し出す。 「手、繋ごっか」 きみは、いつまで僕のものでいてくれるのだろうか。 「……うん」 躊躇いがちに伸ばされた、細い指を包むように握り、そのままポケットの中に仕舞い込む。 きみの心も、逃げ出してしまわないように、こうしてポケットに入れて持ち歩ければいいのに。 「夜はやっぱり、冷えるなあ……」 「圭吾さんの手はあったかいから、これくらいがちょうどいいけど」 「ほんとに?」 「え?」 「手を繋ぐだけじゃ……僕は全然足りないけどな」 「っ、」
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