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何でだろう?涙が頬を伝っていくのが分かる。
エイダンが私を抱きしめた。
そう言ってほしかったのは、今じゃない。
その言葉が欲しかったのは、あの時の私。
なんで、今なの。。。。
あの時にこうやって抱きしめて欲しかったのに。
でも今はそのぬくもりが少し居心地悪かった。
反射的に彼の腕から逃れようともがく自分がいた。
「Stay away from Mai」
聞きなれた声。でも声音はいつもよりかなり強い。
振り向けば、そこにはなぜか理央がいる。
理央は私をエイダンから引き離すと、自分の背中の後ろに庇うように押しやった。
にらみ合ったエイダンと理央。
二人の睨み合う時間が流れていく。
多分、先に視線を外したのはエイダンだったんだと思う。
「マイ、今回は帰るけど、また連絡する」
彼はそう一言残して、私達に背を向けた。
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