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私の方を振り向いた理央は心配そうに私を見てる。
「大丈夫?」
「いつからいたの?」
「結構前から。舞ちゃんが嫌がってたみたいだから、出てきちゃいました」
「そうなんだ」
「出てこない方が良かった?」
「どうだったんだろう?」
「だって泣いてたでしょう?」
「そうだった?」
「涙の跡があるし」
そう言って、理央は私の頬にそっとキスをしてきた。
「昔、舞ちゃんがオマジナイって言って、僕にキスしてくれたの覚えてる?」
「忘れた」
「嘘つきだね、舞ちゃん」
そんな目で見つめてこないで。
忘れられる訳ないじゃない。
だって、あれは私が泣き虫だった理央にしてあげた涙が止まるオマジナイで。
頬にキスした後に、私にしがみついてきた理央が愛おしくて、なでた髪の感触がすごく柔らかくて。
「勉強、大丈夫なの?こんな所まで来ちゃって」
「たまには息抜きしないとね」
「この前も『たまには。。。』って言ってたよ」
私たちはちょっとだけ微笑み合う。
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