報われる?

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報われる?

 振りかえると博士がいた。 「僕もさっき調べたけど、君は桃太郎の次男だったんだ」 「すみません、何を言っているのかわかりません」  ここまでファンタジーな話になってきたのに、とうとう漫画の主人公の状況と変わらなくなってきている。  博士はタブレットで、桃太郎の家系図を表示した。 「桃太郎の子供は三人。長男、長女、次男。桃太郎は鬼を退治したこともあり、宝を持ち帰ったあとも度々鬼たちから命を狙われたらしい。そこで祖父母とも相談し、子供を里子に出した。長男の家系はその後、長女の家系とともに今の鬼退師戦隊を作り上げた。しかし、次男は行方が掴めなかった。鬼にやられたのかもわからずに、今の今まで繋がっているとは考えられてこなかった」  博士が話していることに俺は呆然と聞いている。我が身にふりかかる何か。それを他人のように聞いている。 「良かった。これで桃太郎も報われる」 「報われる?」  博士が何を言いたいのかさっぱりわからない。千佐は俺と目を合わせようともしない。何かを知っているかのようだ。 「長男の家系は技術を、長女の家系は戦隊設立に力を注いできたから、鬼の本格的な殲滅までは至っていない。でも君が来てくれたら、話は違う」  博士は一呼吸置いてから俺に言った。 「君がリーダーとなり、鬼の本格殲滅部隊を指揮してほしい」
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