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スーツの男は琴を見つけると、ゆっくりと手を伸ばしていく。
「っ、琴に触るな!」
俺の言葉を無視して、スーツの男は琴の細い腕を掴んで連れていこうとする。
「琴っ!」
俺は厳つい男を振り払うと、スーツの男から琴を抱き離す。
微かに震える琴を強く抱き締めながら、スーツの男を睨む。
「っ警察を呼びますよ」
「お前、凱さんに」
厳つい男の言葉を片手で遮ると、スーツの男が恐ろしいことを話し出す。
「世の中には変態が多くてな、その娘は良い金になる。さっさと金を返して貰わないとこちらも困るんだよ、諦めて渡せ。」
「…っ、そんなこと出来ない。琴は私の大切な娘だ、金ならどうにかしますから…許してください。」
スーツの男は呆れたように笑うと、俺の顎を掴み目線を合わせる。
「もう待てないんだよ、娘がダメなら…あんたはどうだ?意外に綺麗な顔をしてるじゃないか。」
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