白い花が香る家

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 玄関を開けて息を吸い込む。 「かな、来たよー!」  大きく叫んでリビングのドアを開けた。すらっと立ったまま並んだ美男美女達。視線の先にまず見つけたのがまどかさん。  かなはまた髪の色が変わっていて、少しだけ伸びていた。相変わらずの長身で私の隣に立つと、まどかさんのところまで一緒に来てくれる。 「あまねくんからも奏ちゃんからも話を聞いてるよ。守屋まどかです。よろしくね」  まどかさんの方から話しかけてくれた。美人でいい匂いがする人だった。ゆるふわシニヨンが大人可愛い。有名人なのに全然気取ってなくて、凄くいい人だった。こりゃあっくんも惚れるわ。  納得、お似合いの2人だった。足元には小さな女の子がまどかさんの足にくっついていた。もう普通に走り回る。 「ほら、ひまちゃんこんにちはしようね」 「ちゃ」  手を広げてそう言った妃茉莉ちゃん。今年2歳になるらしい。まだしゃべれないけれどにまっと笑う顔はくりっくりの瞳も相まって可愛い。 「こんにちは。偉いね、ご挨拶できて」  子供は好きな方だと思う。でも、こんな赤ちゃんモデルのような子供を見せられたら誰だって可愛いと思うはずだ。  しゃがんで妃茉莉ちゃんと挨拶をしていた私が立ち上がると、今度は目の前にこれまた美男美女。なんだ、この集まりは。  おそらくこの人達がりっちゃんのお友達だろう。りっちゃんもあっくんも相当なイケメンだ。この兄弟に並ぶほどのイケメンなんてそんじょそこらにはいない。そう断言できたはずだった。  それなのに、どういうことだろうか。私の美男子レーダーが振り切りっている。初めて武内先生と昴を見た時のようなこの胸の高鳴り。  ここここここれは! 極上のBLネタ! ここまで美形だとお相手が中々……そんなことを奥さんの目の前で考える私。  そんな奥さんもショートボブが似合うとんでもない美人。こちらを見てニコニコ笑ってくれるものだから、私は腐女子レーダーを一旦しまって頭を下げた。 「幼い頃から守屋家にお世話になってるんです。河野詩です! それで、こっちが弟の響です」  軽く挨拶を、と思ったのに目の前の女性は「詩ちゃんって言うの? 可愛い名前だね」から始まり、話が止まらなくなってしまった。  しっかりしてそうな聡明美人な印象とは違って、明るくてよく喋る。次々話題を振られてたった5分程度ですっかり仲良くなってしまった。  なんだ……この人、コミュニケーション能力高過ぎるぞ。  話を聞けばお菓子メーカーの営業主任をやっているという叶衣(かなえ)さん。営業担当じゃそりゃ喋るわ。と妙に納得させられた。  それから隣の旦那さんは桐生(きりゅう)璃空(りく)さん。イケメンというより美しい。身長だってりっちゃんと同じくらいあって……というか、りっちゃんに似てる。  落ち着いた態度も、少し冷たい印象をみせる瞳も、あまり人が好きでなさそうな雰囲気も全部。  それなのに叶衣さんを見つめる眼差しはとても優しくて、この人奥さん大好きなんだなと見てわかるほど。
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