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「なんか、叶衣さんと詩って似てるかも」
話が弾んでいるところにあっくんが不意にそんなことを言う。
「俺もちょっとそう思った」
姿が見えなかったりっちゃんが後ろから顔を出した。
「りっちゃん!」
叶衣さんと声が被り、顔を見合わせて笑ってしまった。
「私は璃空さんとりっちゃんの方が似てるって思っちゃったよ」
「あー、それ私も初めて会った時思ったの!」
叶衣さんも歯を出して笑う。似てると思ってても選んだのは璃空さんなのね。まあ、多分璃空さんの方が叶衣さんのこと好きだったんだろうなってわかるけど。
叶衣さんは全く人見知りがないのか、かなにすら臆せず話しかけていた。
「かなちゃん、かなちゃん。どうやったらそんなに細くなれるの?」
叶衣と奏で名前が似てるからか、早速かなちゃんと呼んでは顔を寄せる。この人には怖いものなんてないのかもしれない。
私と似てるなんて言われたけれど、多分この人の方がメンタル強い気がする。
そういえば、璃空さんとりっちゃんも名前が似てるのか。なんだか面白い組み合わせだなぁなんてぐるっと辺りを見回して思った。
叶衣さんは太ったことを気にしているのか、専らダイエットについての話で盛り上がる。とはいえ、彼女からはダイエットをする意思は感じられない。ダイエットなんて必要ない体型だし。気にしてるのは本人だけだ。
詩ちゃんも細いよねぇなんて言われたけれど、私のは細いんじゃない。食べても食べても痩せていくだけ。だって、誰もナースコール出てくれないんだもん。1日中走り回ってれば、そりゃ痩せる。
「叶衣さんだってあんなに素敵な旦那さんいていいじゃないですかぁ! すんごい美形ですね! 私、タイプです!」
隠していた腐女子レーダーが顔を出してしまった。あ、しまったと思った時には既に遅し。じとっとかなに睨まれた。
そりゃそうだ。よそ様の旦那に対してタイプだなんて、私は空気の読めない女と化している。けれど、叶衣さんはそんな私にも優しくて「ありがとう。主人が褒められると私も嬉しいよ」と言ってくれた。
いや、これは璃空さんも惚れるわ。納得の夫婦!
いいなぁ、いいなぁ。あっくんとまどかさんも、璃空さんと叶衣さんも相思相愛で仲良し夫婦。私もこの人達に続きたいなぁ……そう昴の顔を思い浮かべた。
「ここだけの話なんですけど、私美形男性が主人公の小説を趣味で書いてるんです」
弁解のため、叶衣さんの耳元でコソッと言った。
「読んでみたいなぁ」
「えっと……あの、恥ずかしいので機会がありましたら」
興味をもたれても、BLだとはとても言えない。人の旦那とよその男をくっつけようとしていたなんて悟られてはいけない。そう自分に言い聞かせた。
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