白い花が香る家

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 古河先生はこてっと首を倒して「恥ずかしい? 僕はちょっと寂しかったな」と眉を下げて笑った。  か、可愛い! 瞼を大きく上げた私。そう思ったのは私だけではなかったらしく、女性陣は皆頬を手で覆ったり、口元を押さえたりしている。  なるほど……かなは天の邪鬼だけど、古河先生がめちゃくちゃ素直だからこのカップルは成り立ってるのね。 「さ、寂しかったって……明日会う予定だったじゃん」  かながわたわたしながら、私の口から手を離し、古河先生の服の裾を引っ張った。  まるで散歩に連れていってもらえない子犬のような顔をしている。お互いに。  な、なんだ!? このカップルは! かなのこんな乙女顔は初めて見たぞ! 好きが溢れて流れ出てまっせ! 「詩、悪いな。朋樹と駐車場歩いてたら保に捕まってさ……」  じとっと武内先生を見る昴。 「いいよ、いいよ。人数多い方が楽しいし。それに私、和泉さんに会ってみたかったし」 「いや、それは」 「本当!? 私も詩ちゃんに会いたかったんだよ!」  ドンッと昴を突飛ばし、私の目の前に現れる和泉さん。おお、強烈! 「いってぇな!」 「おだまり!」  言い合う2人が並ぶ。あれ……和泉さん、大きいな。武内先生が長身だから全く違和感なかったけど、昴と並ぶと同じくらいだ。  ひゃー、かなも大きいけどやっぱり長身ですらっとしてるとカッコいいなぁ……。  和泉さんが男性だったら間違いなく璃空さんとのBL書くんだけどなぁ。  ちらっと璃空さんを見れば、叶衣さんに寄り添ってなにかを話していた。やっぱり美形!  ハルマオもそろそろ終盤だし、新しいの書きたいと思ってたところなんだよな。でもあれだけの美形となるとやっぱり相手が…… 「ねぇ、詩ちゃんこれ本物?」  私の心の声を遮るかのように和泉さんの声が聞こえ、胸に違和感。すっと視線を下げれば、下からぐっと胸を持ち上げられ、たぷたぷと上下に揺らされた。  !?  場は一瞬凍り付く。誰もが言葉を失った。 「本物だ。細いのに巨乳ちゃん」  むぎゅっと鷲掴みにされた私のおっぱい。まるで昴のようにずっと触わっている。 「おまっ、なにしてんだよ! いい加減にしろ!」  慌てて昴が私の体を和泉さんから引き剥がした。後ろからぎゅっと抱きしめられる。  和泉さんは空になった手を空中で揉んでいた。 「まさか、あの体型で巨乳だったとは……俺でも気付かなかったなぁ」  ふむ、と顎に指を添えて真顔で言った武内先生。こ、この人達……なにかがおかしい。
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