白い花が香る家

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 皆が呆れ返る中、「私も触りたーい」と声が聞こえる。 「ちょ、叶衣。やめときなよ」  顔をしかめる璃空さんの隣で、なぜかとんでもなく嬉しそうな叶衣さん。  昴に抱き締められている私の前にととっとやってきて視線を昴に移した。 「桐生叶衣と言います。守屋律の友人の妻です」  丁寧に昴と武内夫妻、古河先生に挨拶した叶衣さん。 「はぁ……どうも。岩崎昴です」  圧倒されながらも自己紹介した昴。その拍子に私から腕が離れた。  と思ったらすっと伸びてきた手。 「失礼します」  一応断りを入れたつもりなのか、また両手で胸を掴まれた。 「わー、ふわふわだぁ……」  もみもみ、むにむにと効果音が聞こえてきそうなほどずっと揉まれる。 「璃空! 七海より大きい! これは、暫定Fカップです!」  声を張り上げた叶衣さん。いや、Fカップだけれども。おっぱい大きいの気にしてるのにぃーと思ってるところに「いいなぁ、いいなぁ……私、貧乳だからさ。羨ましいなぁ。今はいいけど母乳終わったらきっと絶壁だよ」と悲しげな顔をする叶衣さん。  ……なるほど。胸のコンプレックスは皆平等にあるのか。  妙に納得したところで「叶衣、やめなさい。失礼でしょ」と璃空さんによってこれまた引き剥がされた。 ととっと動く叶衣さん。お腹が大きくて大変そうなのにとにかく元気。 「ねぇ昴。毎日これ堪能してんの?」  さらっと和泉さんが言うから、全員が吹き出しそうになる。 「ま、まっ昼間からなに言ってんだよ! だからお前は連れてきたくなかったんだよ!」  昴がぎゃんぎゃん叫ぶ。  う、うん。なんか昴が会わせたくないって言った意味がわかる気がしてきた。 「まあまあ、男は大体皆おっぱい好きだから」  武内先生がそう言ったことで、女性陣が各々のパートナーを見上げた。 「それは心外だよ! 俺は、まどかさんのお尻も好きだよ!」 「ちょ、あまねくん!?」  突如現れたのはあっくん。まどかさん絡みになると急にバカっぽくなるんだよね。 「まどかさん……?」  目を瞬かせた武内先生と和泉さんが、まどかさんの方を見る。 「えぇ!? 一まどか!?」 「そう。俺の奥さん、一まどかさんなの」 「はぇ!?」  全く同じ反応をする武内夫妻。客観的にやり取りを見ている分にはとても面白い。 「ちなみにまどかさんだってFカップだよ! 形も綺麗で誰にも負けな……」  スパーンッと爽快な音がした。丸めた雑誌を持って、目を見開いてあっくんを見下ろすりっちゃん。 「黙りな。立派なセクハラ」 「もはや強制わいせつ及び名誉毀損」  落ち着いた声でりっちゃん、璃空さんと続いた。わぁ、弁護士2人が並ぶととんでもない迫力。そんでもって神々しいほどの美形。
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