白い花が香る家

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「ご飯作る手間省けると嬉しいですね」 「ね。私、ご飯作れないからとてもありがたい」 「……普段どうしてるんですか?」 「うちは家事全部、璃空がやるの」  叶衣さんはへへっと恥ずかしそうに肩をすくめて笑った。 「えぇ!? 料理もですか?」 「うん。なんでも作れるよ。ご飯もお菓子も。和、中、洋、イタリアンもフレンチも」 「えー、すごい! 男性でそんなに料理上手なんて!」 「よければまた食べにきて。私も璃空の料理は自慢なの」  すっかり仲良くなった叶衣さんは、今度は私を自宅に招待してくれるとのことだった。  私も皆をお家に呼んでホームパーティーしたいな。  それにしても璃空さん、料理もできるのか……。 『美味しい? あとでお前のことも調理してあげるから』  古河先生の背後から耳元でささやく璃空さんが見える。  ぎゃああぁぁぁぁ!! 今日は執筆開始だー!  夕飯作らなくていいし、明日は夜勤だし遅くまで書いちゃおっと。 「こんなに集まると賑やかで楽しいね」  不意にまどかさんに声をかけられた。優しい声でそう言われ、ちょっとドキンとする。  あっくんが夢中になるのもわかるなぁ。包容力凄いもん。元々介護士さんなんだよね。意地悪な看護師達と違ってスタッフにも優しかったんだろうな……。こんな人と一緒に働いてみたかった。 「私もあんまり大人数で集まることないんで嬉しいです。まどかさんにも会えたし」 「ね。私ももっと早く詩ちゃんに会いたかったんだけど。今度はうちにも遊びに来てね」 「いいんですか!?」 「いいよ。ひまも歩くようになってちょっと楽になったしね」 「わぁ、嬉しいですね! 結婚のあれこれを是非聞きたいです!」  これだけ仲良しなんだから、絶対夫婦円満の秘訣がなにかあるはずだ。今から私も勉強せねば。 「私ももっと詩ちゃんの話聞きたいし、楽しみにしてるね。あ、詩ちゃんもお夕飯に持って帰ってね」 「もちろんです! でも凄い量ですね」 「ねぇ。皆もっと食べるかと思ったんだけど、意外と男性陣は食が細いんだよね」  うーん、と唸るまどかさん。りっちゃんもあまり食べないし、まどかさんも叶衣さんも旦那より自分の方が食べるって言ってたしな。 「あ! 確か、千愛希さんち実家って大家族でしたよね!?」  不意に思い出した千愛希さんの存在。そういえば今日きてないんだ。  てか、りっちゃんが会わせたがらないか。 「そうだね! 兄弟10人なんだっけ?」 「そうらしいですね。今時珍しい大家族。前に聞いた時、お兄さんとお姉さんと妹2人以外は実家にいるって言ってたんで、5人はいるんじゃないですか?」 「それでご両親とおじいさん、おばさんで9人はいるか。多いね!」 「ですね! 千愛希さんにお裾分けしたらだいぶ減りますよ」  私とまどかさんは顔を見合わせてにやりと笑った。
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