白い花が香る家

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 食事を始める千愛希さんの隣にすっと座るりっちゃん。なんだかんだ言って、りっちゃんの方が千愛希さんを気にかけている気がする。  あんまり他人に関心なさそうなのに、いつも千愛希さんに振り回されているりっちゃんが満更でもなさそうなのは、見ていてほっこりするものがあった。  かなと古河先生もなんだか2人とも笑顔できゃっきゃしてるし、璃空さんに捕まった叶衣さんもきゃんきゃん言いながら上手いこと丸め込まれている。  千愛希さんがきたことでまどか愛に更なる火がついたのか、あまねくんはずっとまどかさんの後をついてまわってるし、まるで飼い犬。 「こんなに人が集まってるなんて、律よく平気じゃない」 「平気じゃないよ。……苦手」 「でしょうね! ああ、どうせだから一度で済ませてしまおうという魂胆だね」  さらっと千愛希さんが言うと、りっちゃんはふいっと視線を逸らした。  そういうこと!? 何組かでホームパーティーを開くのが面倒だから一度に全員呼んでこれで終わりにしようってこと!? 「りっちゃん、今度はうちでパーティーやるから絶対きてね」  私はそう言ってにっこり笑った。  そうはさせるか。全部が全部、りっちゃんの思い通りになんかさせないんだから。 「いや、俺はいいよ」 「千愛希さん、りっちゃん連れて一緒に来てくださいね」 「もちろん! 詩ちゃんち新居でしょ」 「そうです! 素敵なお家なんですよ」  私と千愛希さんが会話を弾ませれば、りっちゃんと昴の盛大なため息が聞こえてきた。 「それにしても美男美女ばかり集まったね」  興味津々の千愛希さんは目を輝かせている。 「で、きみが昴くん?」 「え? あ、はい……」 「で、医者だ」 「まぁ……」 「いいね!」  にたぁっと口角を上げる千愛希さん。 「あっちは?」 「あっちは、弁護士の璃空さんと、医者夫婦の武内家です」  ざっと説明をする。古河先生については面識があるようで、更に会話は続いた。 「いいね、いいね! 面白い! 詩ちゃん、きてよかったよ!」 「本当ですか?」 「うん! これだけの美形が集まってたら、面白いゲームができそう!」 「……ゲーム?」  りっちゃんは怪訝な顔をする。自分もかなりのゲーマーなくせに、千愛希さんのゲームという言葉には反応する。  自分と一緒にいるのに仕事のことばかり考えている千愛希さんが面白くないんだ。
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