白い花が香る家

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 詩の姿を見つければ、自然と頬が緩む。やっぱり来てよかった。詩が楽しそうにしている姿を見られたんだから。  既に色んな人達と打ち解けている様子の詩が嬉しそうで、俺までなぜか嬉しくなった。  せっかく会えたし、少し話を……そう思ってたところに割って入ってくる和泉。  やめろ! 詩と関わるな!  そんな思いも虚しく、和泉にのまれていく。  あろうことか、男も大勢いる中で詩の胸を鷲掴みにした和泉。  あぁーー!!  詩の巨乳は俺がずっとひた隠しにしてたのに! 1日1回は触るのが日課となっている俺の癒しだぞ!?  たぷんたぷんと持ち上げては揉みまくる。  やめろー! 形が崩れたらどうすんだ!  俺のだぞ! 「私も触りたーい」  どこからともなくやってきた女が、律さんの友達の妻だと自己紹介した。  ああ、そう。と思ったところでこの女までもが俺の詩を触りやがった。  しかもウエストと胸の差を確かめるかのようにあちこち触る。  やめろっつってんだろ!  触っていいのは俺だけだぞ!? 「ねぇ昴。毎日これ堪能してんの?」  心の中で絶叫する俺に、和泉はとんでもねぇことぶっ込んできやがった。 「ま、まっ昼間からなに言ってんだよ! だからお前は連れてきたくなかったんだよ!」  堪能してるけれども! むしろ触ってからじゃねぇと最近眠れねぇし! 毎日顔を埋めて眠りた……じゃなくて! 人前でなんつーこと言ってんだ! 「詩ちゃんちは毎日お医者さんごっこしてるんですって」  言い争ってぎゃんぎゃん騒いだところに、和泉と話してた例の女がそんなことを言いやがった。  お医者さんごっこ……? さあっと血の気が引く。これには詩も狼狽する。  脳裏に浮かぶは『大人の診察始めまーす』。そんな夜もあった。あったけれども! 毎日、毎日あんなことしてるわけじゃねぇぞ!? そもそも病院から離れたらもう医者と看護師じゃなく、職業抜きで一緒にいんだ。  なぁにがお医者さんごっこだ! 「いいなぁ、昴。毎晩あの巨乳に挟まれながらお医者さんごっこか」  保は遠い目をしながら、小声でそう呟いた。 「巨乳とお医者さんごっこ関係ねぇだろ。つーか、してねぇっつってんだろ。そんなに羨ましきゃ、お前もすりゃいいじゃねぇか」 「それは……俺が患者さん役でもいいってことですか?」 「好きにしろ。リアル女医だろ」 「ああ、もうモルヒネでも盛られてふわふわした気持ちで達したい」 「そのまま呼吸抑制かかっちまえ」  まともに相手にするのもバカバカしくて、俺は適当にあしらうことにした。
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