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周は口を尖らせて「彼女以外の女の子と遊んで楽しいの?」と尋ねた。
「楽しいでしょ? 友達だし」
「それで浮気疑われても?」
「いや、だって浮気なんてしないもん。してないのに疑われても」
「してないのに疑うのが女だよ」
保は横槍を入れておかしそうに笑う。うん、その通り。常に最悪な状況を想像しておいて、探りを入れる。
私はあなたの1番の理解者。そんな顔をして平然と「どこ行くの?」なんて聞く。本当のことを言ったとしても「本当は女の子と遊びに行くんでしょ」なんていう決めつけ。
ああ、怖い。だから女は嫌だ。ただ、詩には全くそれがない。アイツに関しては、ちっとくらい心配してくれてもいいのに、とすら思う。
「えー!? 絶対俺の彼女は違うよ!」
「まあ、響は若いからね。好きなだけ遊ぶといいよ」
周は響の恋愛に全く興味がないのか、まともなアドバイスなんかしやしない。
「だ、だから遊ぶとかじゃないし。じゃぁ、保さんはなんで結婚したんですか?」
「んー? だって、初めて見た時に俺、この子と結婚するんだなって思ったもん」
え? マジ? 第一印象からあれでよかったのか? あんなの嫁に欲しいと思うのなんかお前くらいのもんだぞ。
「ビビビッときたってやつ!? すげぇ! じゃあ、出会ってすぐに結婚したんですか?」
「ううん。俺達はお互いに医者だからさ、向こうの親も専門医になるまでは許してくれなかったんだよ。最初から30になったら結婚してもいいって言われてたから、妻の誕生日を迎えてすぐに」
「女性で30ってけっこう待たせましたね?」
「奥さんちは女ばっかりだからね。皆医者だけど。早く結婚して出産して医療から離れることを父親がよく思ってなかったんだよ」
「じゃあ保さんが婿に入って」
「ない、ない。俺はよそのクリニックなんか継がないから。奥さん姉妹の3番目なの。俺が婿に入る必要なんかないから。俺長男、1人っ子だし。って言ったら余計に延ばされたんだよね。30迄には俺と別れると思ったんだろうね」
「え? じゃあ、クリニックを継いでくれる婿ならすぐ結婚してもよかったってことですか?」
「まあ、そうかもね。お見合いさせられてたくらいだから」
見合い!? ありゃ貰い手がねぇだろ。いくら医者に変わりもんが多いからって、和泉と結婚したがる男なんざ、金目的だろ。
1から開業するとなると、経営はそれなりに厳しい。自分の患者を連れていったとしても病院勤務に毛が生えた程度しか稼げない。いや、収入減るヤツだっている。
それがある程度軌道に乗ったクリニックが自分のものになると約束されてりゃ、そんなにうまい話はない。
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