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「30になるまで待ってでも今の奥さんがよかったってことですよね?」
「うん」
「結婚生活いいですか?」
「いいよ。俺達は同棲期間なかったからね、凄い新鮮」
保は嬉しそうだ。なぜか和泉に入れ込んでんだよな。
「ふーん。じゃあ、璃空さんはなんで結婚したんですか?」
全員に聞くつもりかよ。聞いてどうすんだ。
「なんでって……彼女以外とは結婚する気なかったし。それならいつしても同じじゃん」
……いや、これが1番しっくりくるわ。つーか、多分俺の置かれてる状況に似てんのか。俺も詩以外との結婚なんて考えられねぇし。
「いつしても同じなら、もっと後でもよかったじゃないですか」
そりゃそうだ。俺もそう思うぞ。そんなに結婚急いでも、入籍してるかしてないかだけで今の生活と変わんねぇんだから。
「後でもよかったけど、彼女が結婚したがってたから」
「へぇ……愛されてるんですね」
「いや、俺とじゃなくて。結婚をしたがってたからって意味」
さらっとすげぇことを言い出した璃空さん。無表情で抑揚のない声でそんなことを言う。
いやいや、俺とじゃなくてってなに? 結婚できれば誰でもいいとかそういうヤツ?
「彼女ももうすぐ30って時だったから。結婚焦ってるみたいだったし」
ああ……そういうこと。
「やっぱ女の人って30前には結婚したいもんですかね?」
響はちらっと保を見る。和泉の30歳にも反応したんだろう。
「まあ結婚はいいとしても、その先の出産を考えるなら早い方がいいって思うよね。子供がいらないなら、または男が子供を産めたなら、女性だってもっと婚期を遅らせることも可能だと思うよ?
ただ、高齢出産になればリスクは高くなるし、その後育てていくのだってかなり体力がいるでしょ。加えて育児を手伝わない男が多いのも事実だから、そりゃ若くて体力のある内に子供が欲しいって考えるよね」
保は珍しくまともに答えた。
「そっか……女の人は出産があるからか」
「男はいつだって結婚に対して能天気だよ。頑張っても子供が産めるわけじゃないし、仕事して金さえ家に入れればそれでいいって思ってるヤツも多いからさ。考える事柄が女性よりも少ないわけ」
……そんなこと言うなよ。お、俺だって将来のこと考えてないわけじゃねぇぞ? 子供だっていっぱい欲しいって言ったし。
……いっぱい産むためにはそれなりの期間は必要だけど……27歳で1人目を産めば、35までに5人産むとかも可能なわけで……
「不妊症に悩んでる家庭も多いしね」
璃空さんは、軽く目を伏せてそう言った。
そうっ……だよな……。俺は2年後に子供を、なんて考えてても子供ができない可能性もあるわな。不妊治療するにしても、他の家庭よりも協力できる環境にないし、詩も不安になるだろうし……。
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