白い花が香る家

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「でも結婚してたら抑制になるじゃん。世の中、不倫もあるけどさ。わざわざ既婚者に声かけてどうこうなんてそんなにないだろうし。律も父さんも弁護士だから不倫なんてしたら、まどかさんも相手の男も大変だからね」  にこーっと笑ってはいるが、恐ろしいことを言っている自覚は全くないんだろうな。一種の脅しだぞ。そんでもって、とんでもない束縛だ。  ほら、律さんも璃空さんもすげぇひいてるじゃねぇか。  ストーカーの上に束縛、監禁か。やっぱり結婚してなきゃ犯罪レベルだわ。  いや、待てよ。詩にとっても守屋家は家族みたいなもんで、律さんやその親父さんが弁護士でいるってことは……たしかに男よけにはなるな。 「そんで、至るところで守屋周の妻です。主人がいつもお世話になっております。って挨拶してくれるんだよ? 自分で俺のものですってアピールしてくれるんだよ? 結婚が嫌な意味がわからない」  言いきった! それもそうだよな……わざわざ他人に彼氏の話なんかしないが、夫となったら「うちの主人が……」なんて話はよくするもんな。  それは……たまんねぇな。顔に俺の名前を書いて歩いてるようなもんじゃねぇか。  結婚してたら……もし異動になって、他の医者と関わることになっても「主人がいつもお世話になっております」って挨拶するわけだ。看護師として、医者の俺の妻として。  うむ……結婚、するか。住所変更したことで病院に書類提出をし、俺達が同棲を始めたことも病院に知られることになった。  当然看護部長、師長クラスは既に知っているだろうし詩の異動についても考えてるかもしれない。詩もうちの病棟に異動してきてまだ半年だし、すぐにはないとは思うが……もし異動の話が出たら結婚するか。 「それに女性はホルモンバランスの関係もあるし、結婚したいって言ってたはずなのにいつの間にか仕事の方が楽しくてやっぱりまだいいやなんて言い出すこともあるからね」  保は大きくため息をついた。  こりゃ……一旦プロポーズ断られたか? あり得るな……和泉、仕事好きそうだし。子供いなくてもいいとか言いそうだしな。  う、詩もプロポーズ断るとかないよな!? 最近、毎度「それはプロポーズですか!?」って聞いてくるし。そんな質問が出るってことは、詩も俺と結婚したいってことだよな。  それがある日突然、変わんの? 「ねぇ、昴。私やっぱりもっと勉強してスキルアップしたいんだ」  そんなこと……言いそうだ。あんなに勉強教えろって言ってきたくらいだし……。やっぱり30までいいって言われたら……あと5年か。あと5年!? そしたら高齢出産まで5年しかねぇじゃん。38くらいまでなら産んでくれんのかな……。「やっぱり子供は2人くらいいればいいよね」なんて言い出すかもしんねぇ……。  俺は、ただただ男連中の会話を聞きながら、今年中には入籍しようと密かに決めた。
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