白い花が香る家

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 夜勤もあって今以上に会えなくなるし、それじゃ一緒に住む前と変わんねぇ。同棲を始めたのは少しでも2人でいる時間を作るためだ。 「もう辞めれば?」  そこまでしがみつく理由があんのか? 結婚を望んでて、その内子供もなんて言ってる詩が、今から異動してあと何年バリバリ働くつもりだ?  たった1年で異動になったこともあるから、今度の病棟は絶対に詩を手放したくないはず。そしたら最低2、3年は辞めれないだろうな。  退職願いを出してから退職できるまで何ヵ月かかるかわかんねぇし……そんなこと言ってたらあっという間に30だな。  そしたらやっぱり子供は2人が精一杯だとか言うのか……。俺は、仕事よりも俺とのことを優先させて欲しいと思うのに……。正直詩が働かなくても詩と子供を養っていくだけの経済力はあるつもりだ。  詩がまだ勉強したいって言うなら別だけど……。  俺の意見だけを押し通して詩を傷付けることだけはしたくねぇし。かといってこのままずっとズルズル働いて、子供作る暇もなく年月だけが過ぎていくのも嫌だし。  やっぱりここいらが潮時だよな。今行動しておかないと、絶対後々後悔する。半年前、考えたように異動を機に結婚するしかねぇよな。  詩、仕事よりも俺を優先させてくれっかな……。保は和泉に懇願したって言ってたし……詩も仕事にはやりがい感じてるだろうし。  でも俺は……懇願してまで結婚はしなくてもいい。詩が望まないなら、今のままでも……会えない時間が増えるのは寂しいけど、それでも詩が仕事を選ぶなら制限はできないよな……。 「もし辞めるとしても、人手不足だしそう簡単には辞めさせてもらえないよ。それなりの理由がないと」  詩は眉を下げてそう言う。辞めたくないってことか? いや、詩だって毎回プロポーズですか? って聞いてきたじゃん。なに弱気になってんだよ。詩だってきっと俺と一緒にいたいはずだ。  大丈夫。ずっと一緒にいてくれるって言ったし……嘘つかないよな。詩だけは俺の側にいてくれるでしょ? 「結婚するって言えば?」  なんて返ってくるか……。それはプロポーズですか!? っていつもみたいに聞けよ。結婚してずっと俺といればいいじゃん。  「それなら、まあ……いいって言うかもしれないけど……」  しゅん、と顔を伏せる詩。  あれ……? なんでそんな顔してんだよ。どっちの顔だよ、それ。もしかして……伝わってないとか?  あれ? プロポーズってどうやってするって言ってたっけ? 保のは……違うってわかってんだ。周のは……あてになんねぇ。  ……璃空さんの聞いとけばよかった! 「肝心な時には聞かねぇんだな。一応プロポーズだけど」  結局俺は困り果てて、自らそのことについて触れた。
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