旦那様はお医者様

1/27

12197人が本棚に入れています
本棚に追加
/466ページ

旦那様はお医者様

 秋晴れの空気が美味しく感じる。空は澄んで、心地よい風に包まれていた。  結婚式にもってこいの日だと、私は頬を緩めた。  昨日は、前撮り写真を見ながら緊張と期待に胸を膨らませた。身内と本当に仲の良い人達だけ呼べばいいよね。そう昴と2人で話し合い決めた結婚式。  挙式はせずに、食事会も兼ねて披露宴だけを行うことにした。12月21日に入籍した私達は、半年後の6月に前撮りをし、忙しい皆の都合を合わせるために10月に結婚式をしようということになった。  ほとんど1年をかけて準備された結婚式。招待状はしっかり送ったし、頭の中で何度もシミュレーションした。  ドレスを選ぶだけでも、昴があれじゃない、これじゃないと言うものだから中々決まらずに私の方が疲れてしまった。  純白の綺麗なウエディングドレスを見て、これでもかってほどにテンションが上がったのに、もう何十着目かわからないドレス身を纏った時、思わずため息が溢れた。  それでもプランナーさんは飽きもせずに私達の式に向けて一生懸命手を尽くしてくれた。  さすが、プロは違う。職種は違ってもプロフェッショナルの私達は関心しながら指揮をとるプランナーさんの様子を伺った。 「線が細いのでワンサイズ小さいものを持ってきますね」  ニコニコとドレスを用意してくれる。 「あの……ちょっとキツイです……」 「あら、お胸が……。だ、大丈夫です! ちゃんと胸が大きい方用のドレスもありますからね! 調節できるタイプのにしましょう!」  チャックだけで上げるタイプのヤツは大体胸が入らない。それは、普段の服でも同じ。可愛い服があっても肩幅や丈に合わせると胸が入らず、だからといってワンサイズ大きくするとだぼっとしてしまって本来の可愛さが損なわれてしまう。
/466ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12197人が本棚に入れています
本棚に追加