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昴が出席しただけでも驚きなのに、そこに私が彼女として登場したものだから、かなり好奇の目で見られてしまった。
顔をひきつらせて、遠回しに大学時代のことを仄めかす人々。大半は「彼女の前でやめろよ! 空気読めねぇのかよ」と叱咤してくれる人に溢れていたが、中には表面上友達のふりをしていても武内先生と昴のことをよく思ってない人もいるんだろうな、なんて勝手に察した。
「昴さんから全容をお聞きしてるので大丈夫ですよ」
こっちもにっこり笑顔を作って答える。途端に場が凍る。顔をひきつらせて「そ、そうですか……」だってさ。
りっちゃんに別れさせられそうになったり、昴に突き放されたことを思えば、そんな過去はなんでもない。もうとうに乗り越えている。
「俺らが関係持った女の中に、アイツが昔好きだった女が紛れてたらしい……」
こっそり昴が耳元で教えてくれた。
そりゃ恨まれますぜ、兄さん方。
「全部知ってて付き合っていられるなんて、彼女さん寛容ですねー」
酔った勢いでまたその男が絡んできた時、昴が目の色を変えて立ち上がろうとした。
すっと昴の腿に手を置いた私は、「過去は過去ですから。私は現在と未来を見て生きていますからね。それに、昴さんの本当の魅力は私だけが知っていればそれでいいので。お気遣い、ありがとうございます」と笑顔で言ってやった。
「そ、そうですか! いやー、できた彼女さんですね! 昴にはもったいない! 保も結局は美人な医者と結婚するし、顔のいい男はなにしても許されるんだよなぁ。彼女さんも、昴の顔が好きとか?」
ぎゃはぎゃは笑ってそんなことを言うものだから、周りの友人達がさすがに怒って「おい! いい加減にしろよ! こんなおめでたい席でなんてこと言うんだよ! 本当、コイツがすみません」と頭を下げてくれた。
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