旦那様はお医者様

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 きゅっと握り返してくれる暖かい手。さっきまでメスを握って血塗れになって命を救った貴重な手。  あの頃の夢通り、昴は立派な素敵なお医者様になったね。あの頃のチビ昴に今の姿を見せてあげたいと思った。そしてもちろん、お義母さんにも。  カメラがお義父さんに渡ったのか、昴を自分の膝の上に座らせるお義母さんの姿が映った。  ああ、やっぱり綺麗な人……。 「昴、今日で何歳になった?」  お義父さんの声が聞こえて、小さな昴は恥ずかしそうに頬を緩めて、お義母さんの顔を見上げた。 「ほら、何歳になったのって聞かれてるよ」  お義母さんに頭を撫でられた昴がにひひっと笑って「6才! 4月から小学生だよ」と言った。  6才昴可愛い……。ぎゅーっと胸が熱くなって、あんな可愛い子供が私も欲しいと思った。  誕生日にホームビデオを撮ってくれていたご両親に本当に感謝した。  こんな可愛い姿を残してくれてありがとうございます。そして、生きていた頃のお義母さんにも会えて、とても嬉しいです。  心の中でそう囁く。こんなに感動的で心暖まる結婚式はない。やっぱり続行してよかったと画面を見ながらそう思った。  ホームビデオはシーンを変え、小学校高学年くらいの昴が移る。そこには武内先生もいる。  もう一緒に住んでいて、理沙子さんが撮影したと思われた。この頃には2人とも既に出来上がっている。  美形もいいところだ。やっぱりアイドルのような2人。仲良さそうにはしゃいでいる。 「この頃から仲良しだね」 「まあ……保くらいしか友達いなかったしな」  それはそれで悲しいような。  じっと見続けていけば、ブレザーの制服を着た2人。りっちゃんとあっくんと同じ制服だった。  ちょっ……これは……。イケメン好きにはたまらないお宝映像だった。
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