旦那様はお医者様

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「今日は学校帰りに昴ちゃんが来てくれました」 「撮んなよ」 「撮るでしょ。久しぶりじゃない」 「1週間振りだな」 「長かったね、1週間」  昴は呆れた顔をしているけれど、毎日家にいた息子が週に一度しか帰ってこなくなれば、その1週間はとても長く感じるんだろう。嬉しくて理沙子さんがつい撮影してしまう気持ちもわかる。 「今日はいつもより遅かったね」 「課題やってから帰ってきたんだよ」 「家でやろうって俺は言ったんだよ? でも後回しにすると忘れるし、休みは別の調べ事したいとか言うからさ」  口を尖らせる武内先生。うん、わかるよ。高校生だもんね。私も課題嫌だったよ。それなのに昴のこの発言……やっぱり神童と言われた男はやることが違う。  絶対夏休みの宿題溜め込まないタイプだ。 「昴ちゃん、保の勉強みてくれたの?」 「おー。このままだと受験ギリギリだぞ」 「マジ?」 「お前だけ落ちても知らねぇからな」 「ちょっ、昴それはいくらなんでも薄情じゃないか」 「遊び過ぎたツケが回ってきたんだろ」  武内先生のまさかの受験ギリギリをバラされて、彼は左手で顔を覆って恥ずかしそうしていた。  その隣でおかしそうに笑っている和泉さんに、懐かしそうに目を細めている理沙子さん。  お義父さんは嬉しそうに大笑いしている。  皆楽しそうだ。  それにしても放課後の教室で昴が武内先生に勉強を教えてあげてるなんて……。あの美形があの美形と……。  誰もいない教室で2人きり……机は向かい合ってか? いや、横並びか……。  これ、絶対チュウするヤツじゃん。  私の脳内には、院内のエレベーターで唇を重ねた2人の姿が鮮明に映像化された。
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