旦那様はお医者様

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「てめ、いい加減にしろ。絶対やらないからな」 「なんれ、なんれ。しゅばふのふれざー」 「うるせぇ。ダメだ」 「はんなにびけぇれ」 「ちょっと黙ってろ」  ぐっと眉をひそめた昴に終始尊い映像で興奮しっぱなしの私。  絶対後で理沙子さんに交渉しようと心に決めた。だって、あんな映像が残ってるってことは、武内家にはもっと秘蔵映像があるに違いなかった。  武内先生と昴の絡みシーンを探して編集すれば、文章だけでなく映像でハルマオが楽しめるんだからこんなに美味しい話はない。  それに2ヶ月後には私の誕生日だ。去年は誕生日プレゼントに武内先生から美しいキスシーンを見せてもらった。  今年はなにがもらえるだろうかと今から期待に胸を踊らせてしまう。相手が私の夫だとしても、不倫相手が武内先生なら……それは……仕方がないというか。  私以上に昴のことを理解している武内先生なら、昴の唇を奪うのも嫌じゃないというか……いや、むしろ大好物なんだけど。  去年はバックハグからのキスだったから、今年は武内先生の膝の上に向かい合って昴に座ってもらいたい。  武内先生の首に腕を回してくれたら最高。  ああ、ちょっと鼻血でそう……。一度くらいやってくれないかな。 「俺、もっと詩が喜ぶ顔みたい……。去年の誕生日、なんもしてやれなかったから。欲しいもんあったらなんでも言えよ」  昴は半年前にそんなことを言っていた。こ、これは……おねだりしたら叶えてくれるんでしょうか……。  ちらっと昴を横目に見れば「ダメだ」とまだなにも言っていないのに断られた。
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