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「あれ? 落としましたよ」
前を歩く白髪交じりの男に人に向かって、私は呼びかけた。
「おや、またか」
男の人が右目を押さえる。
私は道に落ちた目玉を拾って、彼に渡した。
「きれいな目ですね」
「ああ、色も形も気に入っているのだが、どうも僕にはなじまないみたいで」
ビー玉みたいに青く澄んだそれを、彼は日にかざした。光を反射して、目玉はキラキラと輝いている。
「良かったら、それ、交換しませんか? 私の目玉も透き通った緑色でなかなかきれいだと思うんですが」
「それはかまわないが、でもそうすると左右の目の色が違ってしまうのでは?」
「それもまた粋だと思いまして」
「オッドアイというやつか、はは、確かに粋だねぇ」
「はい、粋ですよねぇ」
私達は目玉を交換して付けてみた。
互いにオッドアイになった顔を見合わせる。
「良く似合っている」
彼がにっこりと笑うので、私も笑い返した。
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