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「月菜さんはおかしな人ですね。」
柚瑠木さんは顎に手を当てて、私の事をジッと見ていらっしゃいます。今まで見たことも無い生き物を見つけたというような顔をして。
「えっと、私のどこがおかしいのでしょうか。柚瑠木さんがお嫌でしたらすぐに直しますので……」
結婚初日から欠点を見つけられた様な気がして、すこし落ち込みそうになる。だけどこれくらいの事でグズグズしてはいけないと思い柚瑠木さんに聞いてみました。
「いいえ、直す必要はありません。僕はそこまで貴女の事を気にしてはいませんから。」
「そう……ですか。」
ハッキリと私の存在の意味の無さを知らされて、涙が出そうになりました。だけど……柚瑠木さんはこんな事で泣くような面倒な女性はきっとお嫌いだろうと思ったので、目を閉じてギュッと我慢したのです。
悔しいんです。私が柚瑠木さんのために出来ることが、なかなか見つからないのです。
「ああ、もうこんな時間ですか。それでは月菜さんの荷物が片付いたら、一緒にショッピングモールへ行きましょう。」
腕時計で時間を確認した柚瑠木さんは、私の部屋に荷物を置いて静かに部屋から出ていかれました。
それでも彼は夫として、こうして私のために一緒に過ごせる時間も作ってくれている。その事が嬉しかったりもするんです。
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