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契約結婚でも理解したい!
背中に回っていたはずの柚瑠木さんの片手が、いつの間にか私の髪をサラサラと梳いています。彼の指先が私の首筋に触れてしまって……
「くすぐったいです、柚瑠木さん……っ」
昔からそうなんです、私は首筋や耳の周りを人に触られるのがとても苦手で……髪を短く切れないのもこれが理由の一つだったりするんです。
だから「止めて下さい」という意味で言った言葉だったのに、柚瑠木さんは髪を梳く手を止めてくれなくて。
「……ずっと綺麗な髪だなと思ってたんです。でも僕には触れることも許されない気がしていて。」
そう言えば柚瑠木さんは私に何かをする時は、いつも確認していましたね。そんな風に柚瑠木さんが考えていたなんて私は思ってもいなかったんです。
もしかして柚瑠木さんは、必要以上に人と接することに少しだけ不安を感じているのでしょうか?
「でも私は柚瑠木さんの妻なんですよ?だから……柚瑠木さんだけが私に触れてもいい人なんです。」
他のどんな男性でもなく、私が触れて欲しいのは夫である柚瑠木さんただ一人だと分かって欲しいんです。この髪にだって、どこにだって触れたいと思っているのなら触れてみてください。
「……私は決して柚瑠木さんの事を拒絶したりなんかしませんから。」
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