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「月菜さんはもっと我が儘を言ってもいいと思います。それくらいは僕にだって受け止めることが出来ますから。」
私が柚瑠木さんを受け止めてあげたいと思っていたのに、彼から思いもよらない事を言われて……けれど、私は我が儘を言う事に慣れていなくて。
「そんな事を急に言われても、柚瑠木さんに我が儘なんてどう言えばいいのでしょう?」
今までずっと我が儘を言えば嫌われてしまうかも、と相手の事ばかり気にして過ごしてきました。そんな性格をいきなり変える事なんて出来ません。
返事に迷って、視線をうろうろと彷徨わせていると……
「我が儘が無理ならば僕に甘えてみてください。僕だけに普段見ることが出来ない貴女の特別な顔を見せて?」
「ゆ、柚瑠木さんっ……!」
そんな甘えるような声で、いつもと違う優しげな瞳で……私にお願いしないでください。こんなの、私の心臓が持たなくなってしまいます。
「うぅ、狡いです……」
「別に狡くてもいいです。だから……甘えてみせて?」
柚瑠木さんに甘えさせられているのか、甘えられているのか分からない状況に頭の中がグラングランします。こんな風に柚瑠木さんに迫られるなんて思ってなくて……
少し強引な柚瑠木さんに抱きしめられ見つめられると、胸がキュウキュウと締め付けられているようで上手く息が出来ない気がします。
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