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「あの、柚瑠木さん。香津美さんが……」
とても怒っていらっしゃいますよ、と言おうすると柚瑠木さんは「ああ、あれか……」と呟くと、私からスマホを取り上げて……
「僕が真面目な話をしているのに、聖壱があまりに貴女の事で惚気るので釘を刺してあげました。」
『釘って……あのね柚瑠木さん、きゃあっ!ブッ……ツーッ、ツーッ』
話の途中で香津美さんの電話が切られてしまったようで、彼女が聖壱さんに何をされているのか少し心配になります。
「大丈夫ですよ、月菜さん。香津美さんはこれから少しだけ聖壱に……」
なぜかそこで話すのを止めてしまった柚瑠木さん。私をジッと見た後で、気まずそうに目を逸らしたのはどうしてなのでしょう?
「……柚瑠木さん?香津美さんは聖壱さんに、何をされてしまうんですか?」
「いえ、月菜さんはまだ知らなくていい事ですから。」
私はまだ知らなくていい?柚瑠木さんの言っている言葉の意味が分かりません。きちんと教えて欲しいのに、柚瑠木さんは……
「では僕はお風呂に入ってきます。さっきの事は月菜さんへの宿題にしておきますから、次はちゃんと僕に甘えてみせてくださいね?」
そう言うと柚瑠木さんはさっさとバスルームへ。
まさか柚瑠木さんからこんな宿題を出されることになるなんて……変わり始めた彼との結婚生活に、私は胸を高鳴らせていました。
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